結婚後、夫が妻の姓を名乗る選択は、現代の日本社会では少数派の選択として考えられています。
伝統的に夫の姓を選ぶことが多い中で、妻の姓を選ぶケースとしては、婿養子として家に入る場合が多いと言われています。
この記事では、結婚後に夫が妻の姓を名乗るデメリットについて、その背景や実際の声をもとに詳しく解説していきます。
結婚を目前にしている方や、結婚後の夫婦で妻の姓を名乗ることを考えている方に、役立つ情報を提供していきます。
この記事を読むことで理解できる内容は以下の通りです
- 婿入りと婿養子の違い
- 妻の姓を名乗る際の具体的な手続き
- 妻の姓を名乗った後の社会的な認知や反応
- 妻の姓を名乗ることによる法的な影響や遺産相続に関する誤解
結婚後、妻の姓を名乗るメリット・デメリットとは?
現在の日本社会において、結婚後に夫が妻の姓を名乗るケースは約4%とされています。
この数字を数字の通り少ないと思う人もいれば、意外と多いと思う人もいるでしょうか。
伝統的には夫の姓を選ぶことが多い中、妻の姓を選ぶケースとして多いのは、婿養子に入るという選択のためです。
「妻の姓を名乗って婿入りすること」と「婿養子に入ること」を同じと思っている人も多いようですが、それは違います。
そこでまずは婿入りと婿養子の違いを明確にした上で、それぞれのメリットとデメリットを説明いたします。
婿入りとは?
婿入りとは、夫が妻の苗字を名乗ることです。
妻が夫の苗字を名乗ることと手続きは変わりません。
必要な手続きは、婚姻届の「婚姻後の夫婦の氏」の欄で「妻の姓」を選択するだけです。
また、戸籍の筆頭者は「婚姻届を出したとき、夫婦どちらの氏を選んだか」で決まります。
そのため、婿入りした夫婦の戸籍筆頭者は妻になります。
なお、戸籍筆頭者は世帯主とも異なります。
世帯主は「一緒に住んでいて共通の財布で暮らしている人の中で中心的な役割を果たしている人」を指しています。
婿入りするメリット
婿入りのメリットの一つは、いわゆる嫁姑問題が起こりにくいことです。
反対に夫舅問題が起こらないとは限りませんが、嫁姑問題が起きる可能性よりはるかに低いでしょう。
また、もう一つのメリットは、夫が妻の家族から大切にされやすいという点です。
これも必ずというわけではありませんが、婿入りする男性が少ないからこそ大事にされやすいと言えるでしょう。
なお、婿入りすることで妻の両親の相続権を得られると思っている人が多いですが、これは誤解です。
婿入りするデメリット
反対に婿入りのデメリットの一つは、周囲の人から好奇の視線を向けられるかもしれないという点です。
妻の姓を名乗る人が昔より増えているとはいえ、全体の4%程度に過ぎません。
そのため、好奇の目にさらされる覚悟は必要です。
もう一つのデメリットは、名義変更手続きの手間がかかることです。
戸籍の変更はもちろん、銀行口座の名義変更やクレジットカードの名義変更、さらには保険や携帯電話の契約変更など、日常生活のあらゆる面での手続きが必要となります。
しかし、これは夫の苗字に変更した際の妻の手間も同じなので、男性特有の問題というわけではありません。
婿養子になるメリット
婿養子になるメリットは、前述の婿入りするメリットに加え、妻の両親の相続権を得られることです。
妻の側が資産家だったり、家業を継いだりするためには大きなメリットになる可能性があります。
また、実親との親子関係がなくなるわけではないため、両方の親からの相続権を得ることが可能です。
なお、手続き上、婿入りと異なる点は、婚姻届と一緒に養子縁組届を提出する必要があることです。
婿養子になるデメリット
反対に婿養子になるデメリットは、妻の両親の扶養義務が発生することです。
相続義務と同じく、実の両親の扶養義務もなくなるわけではありません。
また、もし離婚となった場合は手続きが面倒です。
婿養子が離婚すると、苗字や戸籍は入籍前と同じ状態に戻ります。
実の両親が死亡している場合は戻る戸籍がないため、新しく戸籍を作成します。
もし、旧姓に戻したくないなら、7年以上養子縁組をしているという条件付きで、妻の苗字を選ぶことも可能です。
なお、手続きの順番としては、養子縁組を解消する「離縁届」を先に提出し、その次に「離婚届」です。
結婚後 妻の姓を名乗る 理由
結婚後に妻の姓を名乗る理由に多いのは以下のようなものです。
- 妻が一人っ子、または姉妹しかいないから
- 妻の実家が資産家だから
- 妻の実家の家業を継ぐから
- 妻の苗字が希少だから
- 夫の苗字になると妻のフルネームがおかしくなるから
- 夫が外国人で、日本で生活するから
- 夫と実家の関係性があまりよくないから
- 女性が姓を変えるのが普通という考え方自体が嫌だから
私の知り合いには苗字も名前も「みき」という、フルネームが「みきみき」さんという方がいます。(実在する個人名のため、あえて平仮名表記にしてます)
もちろん夫の姓に変えたことでこのような名前になったのですが、妻の姓にするという選択肢があっても良かったのでは?と思ってしまいます。
夫婦別姓にできる?
夫の苗字を名乗るにしろ、妻の苗字を名乗るにしろ、手続きが面倒なのは同じです。
そこでこう考えた人はいませんか?
結婚後も苗字を変えない夫婦別姓にできないかと。
しかし、現在の日本の法律では国際結婚を除き、夫婦別姓は認められておりません。
「夫婦は婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」と昭和22年に定められた民法で決められているからです。
なお、夫婦同姓を強制している国は、先進国では日本だけで、世界的に見ても夫婦別姓を選択できる国がほとんどです。
結婚後、妻の苗字を名乗ることで生じるデメリットや悩みの具体例
実際に妻の苗字を名乗ることで生じたデメリットや悩みの具体的な声を集めてみたのでご紹介します。
夫の両親に反対される
夫本人は納得の上でも、両親が苗字を変えることを良しと思わないケースが多く報告されています。
女性が姓を変えるのが普通だからという、昔からの社会的な通念が根強いためです。
女性が変えるのが普通という考え方に対抗するといった現代的な価値観から妻の姓を名乗りたいというカップルもいますが、それだけの理由だけでは説得できず、親との関係性に亀裂が入ることもあるようです。
そういうことがないよう、結婚する当人同士だけでなく、事前に夫の両親とは話をしておくべきです。
また、きちんと説明できる理由も用意しておくべきです。
なお、親が反対する理由としても「淋しいから」といった曖昧なものが多く、きちんと話をして苗字を変える理由がわかれば納得してくれるケースが多いようです。
結納はどうするか?
結納とは、結納金や結納品の受け渡しによって、婚約を成立させる儀式です。
通常は夫側から妻側へ贈りますが、婿入りは妻側から夫側へ結納金や結納品を贈り、夫側は妻側へ結納返しをします。
結納金は100万円が相場です。
ただし、婿入りの場合の相場は通常の2~3倍、つまり2~300万円と言われています。
最近では、結納をしないカップルが増えています。
しかし、結納をするかしないかは両家の問題でもあり、結婚をする2人だけの問題ではありません。
結納をする場合は結納金の受け渡しや金額を、あらかじめ両家で話し合うことが大切です。
婿養子になったと思われる
妻の姓を選んだだけの人は、婿養子よりも少数派です。
そのため、会社関係などでそこまで親しくない人から「婿養子になったの?」と聞かれることが多く、それが煩わしいと思うことは想像にかたくありません。
夫に苗字を変えさせてしまった妻の苦悩
一方で夫に苗字を変えさせてしまったという妻の苦悩の声も聞かれます。
妻の姓にしたというだけで
「よほどいい家柄なんですね?」
「代々続くおうちなんですか?」
などと言われ、プレッシャーとなることが多いそうです。
言った相手に悪意があるわけではなく、家や苗字に対する固定観念のようなものが、年配者ほどに浸透しているせいであると言えます。
結婚後、夫が妻の姓を名乗る選択のデメリットとは?【まとめ】
この記事の内容のまとめです。
- 夫の両親が苗字の変更に反対するケースが多い
- 昔からの社会的通念により、女性が姓を変えるのが普通とされている
- 結納の際、婿入りの場合の結納金の相場は、通常の2~3倍である
- 妻の姓を名乗ると、婿養子と誤解されることがある
- 婿養子になるデメリットとして、周囲の好奇の視線を受けることがある
- 婿養子の場合、妻の両親の相続権とともに扶養義務が発生する
- 婿入りするだけでは相続権は得られない
- 離婚の際、婿養子が離婚すると手続きが複雑になる
- 妻の姓を名乗ることで、社会的な立場や評価が変わることがある
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